あるところにポケモンが好きな男が居ました。
男はこの世界では普通のポケモントレーナーでした。
大好きなポケモン達と暮らし、ポケモンと共に戦い冒険をする日々。
男はきっと幸せだったのでしょう。
そんなありふれた日常を過ごせる事が。
ある日、男はとある森へ訪れました。
ポケモン達がひっそりと暮らすその森で出会ったあるポケモンが男の運命を大きく変えることになるのでした。
昔、絵本で見た事のある魔法使いのような姿をしたポケモン。
そのポケモンと出会った後、男の記憶は途絶えてしまいました…
(とある朝、どことなく覚えのある冷たさを感じ目を覚ます
水だ
何故か自身の周りが水浸しである事に気がつく
慌ててとびおきようとするもまた違和感を感じる
手足がない…身体を思うように動かせない
理解が追いつかない
私は今どこにいるのか、どんな状態なのかわからない
混乱している私に何者かが声をかける
なんとか声のする方へ目を向ける
は?これは夢だろうか?
目の前に居たのは私より小さい存在
ポケモンである
私より小さい存在
のはず…
なぜ目が合っているのかわからない
声も出せない私に色々話しかけてくる
そもそもなぜポケモンの言葉がわかるのだろう?
そのポケモンは私が怯えていると思ったのだろう
怖がらなくて良いと言った
そして自らの名を名乗り、私に名前を尋ねてきた
わからない。思い出せない。名前など私にあったのだろうか…
心の中で呟く
わかっているのは
たしか以前は人間であった事
しかし名前が思い出せないのでこういう時は
ハンドルネームという
ほうほうもありなのではないだろうか?
おっ?なぜか今この瞬間だけじょう
ずに言葉を使えるのだが…
きにしたら負けなので考えるのをやめた
咄嗟にホオズキと名乗る
そして信じられない現実を突き付けられる事となる
今の私はコイキングであるという信じられない現実
事態の把握をできない私の元へまた別のポケモンが現れる
どうやら困っているらしい
もう1人のポケモンが私に助けてあげようと言った
助けて欲しいのは私の方だ
混乱していた私は動かし方もよくわからない身体を全力で使ってその場から逃げ出したのであった)
何故か今でも微かに脳裏に焼き付いて離れない記憶。夢のような記憶。
もしあの時、あのポケモン達の話をしっかり聞いて居れば…
違う未来が訪れていたのかもしれない。
あの世界で幸せになれたのだろうか?
今となっては確かめようのない事だけど、もし再び出会う事ができた時、私はあの子達になんと謝れば許して貰えるのだろうか?
それとも私はそんなあの子達に気付かずにあの子達を食べてしまったのかもしれない。
もしかしたら今まではそうで無くてもこれからそんな未来が訪れるのかもしれない。
私以外の誰かがそうしてしまったら?
本来はこの世界で最も幸せな事は人とポケモンが共に仲良く生活する事である。
だが、私達は何かを食べなければ、生きていく事はできない。
だからこそ、私は人が何かを食べる事に喜びを幸せを感じる事ができるように何かできることをしていこう。
ポケモンへの感謝を人が忘れないように。
私はどこかの世界で普通のトレーナーだった。
私はどこかの世界でポケモンになった。
その世界で私は人に食べられる事を選んだ。
私を食べた人間は私に感謝し、私が再び世界に戻れるよう祈りを捧げた。
〜夏目朔弥のレポート〜
⁇⁇⁇「ようこそ。ポケモンの世界へ。これから(以下略)」
(新たな世界での目覚めは何度目だろう。私はこの世界でも誰かが決めたルールに乗っ取って普通のトレーナーとして生きていくのだろうか?)
とある研究所にて
⁇⁇⁇「さくや君ここに来てもらったのは(以下略)」
さくや「…ごめんなさい博士。私は他にやりたい事があるのです。多分他のトレーナーのようにはなれません。」
⁇⁇⁇「ふーん。好きにしろ。」